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正常圧水頭症センター

正常圧水頭症センターについて 2021年01月26日改訂

当センターで診療している病気は下記の通りです。これらの疾患は、以前に比べると治療の可能性が高くなっていますが、まだ分からない事の多い病気です。疾患のより良い理解、診断方法の確立、治療法の改善のために、診療(診断と治療)を受けられる方には、匿名性を担保した上で、診療情報(病歴や検査結果、治療経過など)を医学研究のために利用させて頂くことをお願いしています。これまでに行ってきた医学研究の表題一覧を別に掲載しています。担当医は脳神経外科専門医の髙木清です。診察は全て予約制になっています。

当センターで診療している病気

当センターでは次のような病気を診療しています。

正常圧水頭症(NPH: Normal Pressure Hydrocephalus)
特発性正常圧水頭症(iNPH: idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus)
二次性正常圧水頭症(sNPH: secondary Normal Pressure Hydrocephalus)
正常圧水頭症に関連して、認知症、歩行障害、排尿障害(頻尿や失禁)
特発性頭蓋内圧亢進症(良性頭蓋内圧亢進)
脳脊髄液減少症
外傷性脳脊髄液減少症
軽度外傷性脳損傷(mTBI: mild Traumatic Brain Injury)
慢性外傷後頭痛(CPTH: Chronic Post-traumatic Headache) 子宮頸癌ワクチンの副反応(子宮頸癌関連神経免疫不全症候群、HANS: HPV Vaccine Associated Neuropathic Syndrome)
起立性調節障害(OD: Orthostatic Dysregulation)
線維筋痛症(FM: Fibromyalgia)
慢性疲労症候群(CFS: Chronic Fatigue Syndrome)

当センターで行っている治療

当センターでは次のような病気を診療しています。

当センターで行っている治療は次の二つです。
脳室心房短絡術(VA shunt: Ventriculo-atrial shunt)
硬膜外気体注入療法(EGI: Epidural Gas Injection)

以前は硬膜外酸素注入療法(EOI: Epidural Oxygen Injection)あるいは硬膜外生理食塩水酸素注入療法(ESOI: Epidural Saline Oxygen Injection)としていましたが、空気やヘリウムを用いることもあり、今はこのように呼んでいます。この治療には現在保険適用がなく、自費となります。

病気の簡単な説明

特発性正常圧水頭症(iNPH)は、忘れっぽい(認知症、痴呆症)、 おもらしをする(尿失禁)、ころびやすい(歩行障害)など、「年のせい」にされてしまいがちな症状の原因となる病気の一つです。正しく診断されれば、たとえ脳梗塞や脳出血などの脳血管障害や、髄膜腫のような良性脳腫瘍の合併があっても、比較的簡単な手術(髄液シャント術:当院では VA shunt)によって症状の改善が期待できます。

わが国で「脳脊髄液減少症」と呼ばれている疾患の内で外傷に関連するものは、欧米で軽度外傷性脳損傷(mTBI: mild Traumatic Brain Injury)あるいは慢性外傷後頭痛(CPTH: Chronic Posttraumatic Headache)と呼ばれている病態とほぼ同じだと思われます。この点については、インターネットで病気の原因や症状を調べてみると分かります。追突事故などの軽い頭頸部外傷の後、頭痛、頸部痛、記銘力低下、めまい、目がかすむ、目の焦点が合わない、光がまぶしい、全身が痛む、原因不明の脱力、歩行時にふらつくなど様々な症状が長期間続き、会社や学校を休まなければならないほど深刻な症状なのに、現代の最先端のCTやMRIなどの画像検査や血液検査でも症状を説明できる異常が見つからない病気です。そのために詐病、心の病、あるいは保証金目当てとされることも珍しくありません。幸いなことに、最近では硬膜外気体注入療法や硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)などの様々な治療により、9割以上の患者で症状の改善がみられ、約6割の患者が社会復帰しています(当センターでの治療経験)。

特発性頭蓋内圧亢進症は、以前は良性頭蓋内圧亢進症と呼ばれていた病気です。脳圧が異常に高くなって頭痛や吐き気、視力低下、視覚異常などを訴えますが、原因がハッキリしないので特発性と呼ばれます。追突事故などの比較的軽い外傷の後いつまでも頭痛や吐き気を訴える患者の中に、異常に脳圧が高くなっている患者がおり、髄液を排除すると一時的に症状が軽減することが多いようです。

「脳脊髄液減少症」と呼ばれている疾患の症状については後述しますが、診療ガイドラインにも書かれています(脳脊髄液減少症ガイドライン2007)。これらの症状は、慢性疲労症候群((最近では筋痛性脳脊髄炎と呼ばれることも多い)CFS)線維筋痛症(FM)起立性調節障害子宮頸癌ワクチン副反応(HANS)などの診断基準に挙げられている症状とよく似たものが多く含まれています。また、頭部CTスキャンや最新のMRI検査でも症状を説明できるハッキリとした異常が見つからないことも共通しています。そのために、「脳脊髄液減少症」の患者だけではなく、専門医によってこれらの疾患と診断された患者が当センターを受診されることも少なくありません。理由はよく分かりませんが、「脳脊髄液減少症」に対して行っている簡単な治療(硬膜外気体注入療法)により、これらの患者でも多くの場合、様々な症状が改善しています。

これらの疾患には、脳と脊髄を浮かべている無色透明な液体が症状の発現に関与していると考えていますが、CTやMRIなどの画像検査だけを見ていては診断が難しい病気です。
次に、それぞれの病気(特発性正常圧水頭症、脳脊髄液減少症、起立性調節障害)について少し詳しく説明します。

特発性正常圧水頭症について »
脳脊髄液減少症 »
起立性調節障害について »